“個性が輝く顔”には複数の表情が共存している!
Kazu Hiro氏制作によるオードリー・ヘプバーン彫像の分析

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    本彫像は、オードリー・ヘプバーンを忠実に再現したものではなく、アーティストの解釈によって作られています。

ある人について「美しい」というとき、それが外面的な顔の造作だけでなく、内面からにじみ出る美しさや魅力に由来していることがしばしばあります。個性や生き様が顔や表情に表れることは、経験的には理解されるものの、多様で複雑な美しさをひとつの基準や視点でとらえるのは大変難しいことです。

花王は、価値観や生き方がにじみ出るような“個性が輝く顔”の魅力を探求するため、2019年から特殊メイクアップアーティスト・現代美術家のKazu Hiro氏との共同研究を行なっています。
Kazu Hiro氏の制作する顔の彫像は、非常にリアリスティックでありながら、モデルの内面がよく表現されていると評されます。アーティストの鋭い感性によって見いだされたモデルの個性や内面も含めた魅力が、具体的な顔の彫像にどのように表現されているのかを、Kazu Hiro氏へのインタビューと完成した彫像の表情分析によって解明しました。

彫像はオードリー・ヘプバーンをモデルに、経験を重ねることで変化していく内面がどのように表現されるのかを確認するため、若いころと年を重ねたあとの2体がつくられました。

Kazu Hiro氏は、人生経験を経てどのように顔が変化していくかに着目し、制作にあたってはモデルの伝記や写真集、映像作品などの資料を多数参照する、と語っています。これをふまえて、一つの彫像に悲しみ、喜び、怒りといった複数の感情を入れ込むようにしているとのことから、Kazu Hiro氏の彫像は、見る人自身の置かれている状況や心情により異なる印象を感じるような、「見る人とつながる」表現となっていると考えられます。

一方、FACSという表情分析の手法を用いて解析を行った結果、Kazu Hiro氏の彫像には、ひとつの角度から見た顔にも相反する表情が共存していることが確認できました。たとえば、幸福と感じられる表情に特徴的な口角を引き上げる動きと、幸福の表情には存在しないとされる眉を下げる動きが同時に見られました。 さらに、各表情の強度は角度によって異なり、ある角度から見ると優しさを、ほかの角度からは厳しさをというように、見る角度によりさまざまな表情が感じられることが客観的に示されました。 

今回の研究では、ひとつの静止した彫像に複数の感情を入れ込み、彫像を見る角度によってモデルの多様な内面を表現するというKazu Hiro氏の意図が、作品において確かに実現できていることを表情分析で科学的に検証しました。
年を重ねたオードリーの彫像に表現された複雑な表情は、人生の中でのさまざまな経験とそれにより深められてきた豊かな内面を感じさせるものであり、こうした表情の中に私たちはその人の個性を感じているものと考えられます。“一人ひとりの個性が輝く顔”には、その人の内面を表現する表情が重要であることが示唆されました。

花王はこの知見をもとに、個々の内面的な魅力を引き出し、表現することをサポートする技術・情報の開発を進めていきます。

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研究開発ニュースリリース:
https://www.kao.com/jp/corporate/news/rd/2020/20201222-001/

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